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生き活きサポートセンターうぇるぱ高知の活動に迫る!!!

バックナンバーはこちらから!

File No,01

施設長に密着取材!

File No,02

観たぞ!「殯の森」

File No,03

「むつき庵」の取組み

File No,04

歌で感じる生きる喜び

File No,05

介助者を守るNoLift論

取材データ

下元佳子さん 今回の取材にご協力いただいたのはこの方!

生き活きサポートセンター うぇるぱ高知

代表 下元 佳子(しももと よしこ)さん

調査報告

うぇるぱ高知の皆さん きらけあ調査員らびぃが今回ご紹介するのは、高知県に事務局を構えるボランティア団体生き活きサポートセンター うぇるぱ高知(以下、うぇるぱ高知)の活動です。


実は、調査員らびぃが初めてうぇるぱ高知の活動の一端に触れたのは、『成果を出すための褥瘡対策セミナー』(株式会社タイカ主催)の大阪会場でした。力任せの介護によって生まれる褥瘡(床ずれ)や拘縮を防ぎ、“される側”にも“する側”にも負担のない介護が実現できることを知ってほしいという思いから、うぇるぱ高知が全国で開催回数を重ねてこられた人気のセミナーで、調査員がお邪魔したその日も会場は満杯でした。
セミナーでは、拘縮で手足が曲がっている人を寝かせる時や、車いすに座らせる時の姿勢管理の重要性を訴え、クッションを使用して体圧を分散させながら、曲がっている手足を広い面積で受け止めることで、筋の緊張を解きほぐすことができること。また、自分で体を支えることが困難な人を、今にもずり落ちそうな体勢で、その人に合わない車いすに座らせたままでいることが、褥瘡と拘縮を悪化させている要因であることを、事例写真で紹介したり、実技を交えてレクチャーされていました。
この『成果を出すための褥瘡対策セミナー』に参加した調査員はとても感動し、もっと深くうぇるぱ高知の活動を知りたい!という思いから、取材のお願いをしたところ、今回、代表の下元佳子さんに快く引き受けていただき、めでたく実現に至りました。


おたすけ隊の活動 うぇるぱ高知は約10年前に「目の前の人を、目の前の現場をよくしたい」という熱い思いを持った同志が、スキルアップのための新しい情報収集を目的に勉強会を始めたことが、現在の活動につながるそもそもの出発点だったそうです。そして、勉強会を重ねていくうちに、「勉強会で得た知識や情報をメンバー以外の専門職にも広めていきたい」、「高知県全体でスキルアップしていきたい」という思いに変わり、公開研修・セミナー活動がスタートしました。

下元さんは当時のことを次のように振り返ります。
『当初、情報は専門職に伝われば利用者様にも届くと思っていました。でも、実際には私たちのイメージ通りにはいかなかったのです。知識を持ったものが専門的な判断を下した上で、情報を利用者様に提案してしまう。そうではなくて、利用者様本人やご家族の方々が、もっと情報に直接触れられる場所を提供することが必要だと考えました。そこで、一般の方に開かれた催しを企画したのです。そうして、2002年に第1回『福祉機器展』を開催したところ、予想以上の反響がありました。やはりこのような情報収集の場や相談所が求められているのだという実感は、開催後の問い合わせ件数が増えるにしたがって高まっていき、ついに、正式に窓口としての事務局を構えて体制を整えていく中で、次第にうぇるぱ高知の存在意義を確立させていったのです。』

こうして誕生したうぇるぱ高知は、理学療法士でケアマネジャーでもある下元さんを代表に、メンバーが次第に増え、今では100名を超える皆さんが活躍されています。


おたすけ隊の活動 福祉・介護の『情報発信』『技術支援』『啓蒙活動』のテーマの下で行われている、うぇるぱ高知の主な活動内容は、サポートを必要としている個人や施設からの相談窓口である「おたすけ隊」、介護技術指導や福祉用具のセミナーを開催している「介護寺子屋」、福祉器機展の運営を手がける「バリアフリーフェスティバル」、サポートを必要としている人や現場で活躍する人への情報発信、学校への福祉教育など。
それらの活動の中から、きらけあは今回、「介護寺子屋」をクローズアップしてみました。

うぇるぱ高知が、2008年5月10日・11日に神奈川県平塚市で開催した「介護寺子屋」の一環である、『介護技術スキルアップセミナー』の模様を、きらけあ関東支部の特派員である、Jがリポートしてくれました!特派員Jは介護老人保健施設の介護職員です。現場で関わる利用者様を少しでも楽にして差し上げたい思いから、外部での勉強会などにも積極的に参加している、“熱い介護福祉士”さんです。今回は同じ職場の先輩職員を誘っての参加でした。
では、Jさん、よろしくお願いします!


特派員リポート
きらけあファミリーの皆さん、こんにちは!特派員Jです。
今回、きらけあ本部より任務を受けて、受講生の一員としてセミナーに潜入してきた模様をリポートします。
セミナー会場となったのは、神奈川県平塚市にある『特定非営利法人 宅老所ひなたぼっこ』。“高齢になっても障害を持っても、誰もが安心して住みなれた我が家・我が町に住み続けていたい”という願いを実現しながら、同時に、介護している方が働き続けられたり、介護疲れをリフレッシュできたりできる環境を整えるため、みんなが持つ知恵・時間・力を活かして地域で支えあうことを目標とされているデイサービスです。そんな思いから、介護保険サービスの枠を超えて、宿泊や早朝のお迎え・遅い時間のお送りなど、365日24時間体制で利用者さんの受け入れをされています。 そんな「ひなたぼっこ」に、職場も年齢・経験もさまざまな10名の“介護技術学び隊”のメンバーが集まりました。

セミナーは下元さんの次のような言葉から始まりました。

セミナーの様子 『介護技術というと『食事』『排泄』『入浴』を連想しますが、その“3大介護”を含めた全てにおいて重要なのは、対象となる人の『姿勢』と『動き』を知ることです。『動く』とは体の重心が移動すること。それを『介助する』ということは、利用者様のあらゆる行動を力任せにやってあげるのではなく、人間の体の『動き』(重心の動き)を理解して、手を添えることが大切なんですよ。
人間の体って、動かしたい所が軽くならないと、これがなかなか動かないんです。あなたなら、どうやって起き上がりますか?さあ、ベッドに寝てみて!「あ〜、起きたくないな〜」と思いながら、起き上がってみてください。』


そこで、まずは実際にベッドや床に寝転んで、「起き上がり」を隊員それぞれが確認しました。

(ああ、まず肘に重心がかかっている…重心が膝に移った…今は片側のお尻に体重がかかっているけど…頭がぐるんと前方に回旋して…浮いていた片側のお尻が下についた…)

セミナーの様子 そうするとどうでしょう!?普段、無意識のうちに行っていた「起き上がる」という行動を、コマ割で捉えてみることができました。「私達はこうやって起き上がっていたのか!!!」ということを踏まえた上で介助を行えば、確かに利用者様本人の体の自然な動きに逆らわず、楽に介助できそうです。そこで次に、“介護技術学び隊”たちはペアになって、交代で相手を介助してみたり、介助されたりして、楽な「動き方」や「姿勢」を体験していったのです。
「動くっていうことはどういうことか。どんな姿勢をとると楽なのか。それを基本にそれぞれの動作のサポートを考える。これの繰り返しです。」理学療法士である下元さんからの体の仕組みに基づいた説明と実技は、介護職の立場にある隊員たちには、驚きと発見の連続でした。思わず、「感動!!」との声も飛び出していたほどです。理学療法士として現場の最前線で利用者様に向かい合われているように、手取り足取り技術指導を受ける・・・。介護職員の私が求めていたセミナーは、まさにこういうものだったのだ!という嬉しい悲鳴が私の心を満たしていきました。

そうして、1日目は「寝返り」「ベッド上での横移動」「ベッド上での上下移動」「起き上がり」「座位移動」を学びました。 その後、懇親会も行われ、「ひなたぼっこ」代表の大見さん特製の大根の煮物をみんなで美味しくいただいて、交流を深めたのでした。

さて、2日目は1日目の復習と、「立ち上がり」「移乗」「ポジショニング」「シーティング」がテーマです。2つのグループに分かれ、「体型や体重が変われば介助も変わる」ことから、いろんな相手を介助し、介護技術のコツを習得していきました。

今回のセミナーは、ほんの10名を対象に開かれたものでしたが、少人数で受講できたメリットの一つは、なんといっても下元さんを中心として、自由に会話でのコミュニケーションを図れた点でした。
“私の担当しているフロアの山川さん(仮称)を少しでも楽にして差し上げたい。”
“澤村さん(仮称)に気持ちいい眠りを提供してあげたい。”

「それには、どうすればよいのか?」を全員で考える。そこで、隊員の私自らが山川さんになりきって、実際に山川さんが苦しんでいる拘縮ポーズをとるわけです。
“ここにクッションを入れてあげて、腕を楽にしてあげてみたら?”
“車いすでは、背中にクッションをあててはどうでしょう?”

利用者役の隊員に実際にクッションを当ててみます。すると自然と腕の緊張がとれてきました。また、車いすでは背中をクッションに預けることで、丸まっていた背中が安心しているように見えました。いすからずり落ちそうな姿勢が戻ったら、頭やあごの位置も変わって、開きっぱなしだった口も自然と閉じてきたのです。
この様に、正しい姿勢を楽に取れるようにしてあげれば、体がリラックスできることを隊員たちは実体験できたのでした。

介護技術学び隊のみなさん そんな体験を繰り返しているうちに、「苦しんでいる利用者さんを早く助けて差し上げたい!」と、熱い思いに駆られた私の心は既に現場へ向かいます。今回一緒に参加した先輩職員と、「あのフロアの○○さんには、こうしてあげよう。」「下の階の○○さんにも必要だよね」と現場さながらに確認し合っていました。
これまで職場外の研修には積極的に参加してきた私でしたが、『研修で学んだことをどんな風に職場に伝えていけばいいのか…』、『果たして共感してくれる人はいるのか…』、といつも不安に思っていました。しかし、今回は『明日から実践できる!だって、同じ発見と感動を味わった同志がいるから!!』と、心強く感じることができました。他の参加者の方々も、きっと同じ様に思っていた事でしょう。その証拠に、みんな目をキラキラと輝かせておられましたから。
こうして、参加者10名が学んだことを、それぞれ現場へ持ち帰り、実践していくことで、セミナーの効果が「ひなたぼっこ」を飛び出し、平塚、神奈川、そして全国へと広がっていきます様に・・・と特派員は願っています。


また、今回のセミナーで教わったことは技術だけではありません。
“現在行われているリハビリの多くが、実際の生活を考えずに行われているトレーニングではないか?”と下元さんからあるエピソードと一緒に問題が提起されました。

そのエピソードとはこういったものです。

『いつも怒ってばかりの頑固者の利用者さんがいました。乱暴で、入浴も拒否する。一番手のかかる利用者さんでした。 ところが、ある日、私はこの方がお元気だったころは、パン屋さんだったことを知ったんです。そこで、私は、その利用者さんの隣に座って、紙粘土をこね始めてみました。
いろんな形を作っている私の姿を、しばらくの間、ただじっと見ていた利用者さん。しばらくすると、彼が紙粘土に手を伸ばしたのです。私が黙って見ていると利用者さんは、あれよあれよと、とても器用に亀を作りあげました。亀が完成すると、どんどんとほかの動物たちも作り始めて、完成したものに絵の具で色を塗って、とっても素敵な動物たちができあがりました。そこで私はその動物たちを箱庭にいれて、「小さな動物園」を作りました。
それから利用者さんは、どんどん箱庭コレクションを作っていって、デイを訪れるお客様に「コレ、俺が作った」と誇らしげに見せるようになったのです。
そんなある日のこと、その利用者さんが突然行方不明になって、みんなで大騒ぎ。ようやく見つけた場所は、なんと彼が大嫌いだった「お風呂」だったんです。そう、彼は消灯された真っ暗なお風呂場で、一人お湯につかっていたのです!』

このお話を聞いて私は、「人間って、自分らしい生活が保障された時点で、自発性が生まれるんだな」と思いました。
あんなに入浴を嫌がっていた利用者さんが、ある日、ふと『入ってもいいかな』と思える「心の余裕」。その余裕は、無理やり訳の分からない世界に連れてこられ、不本意な生活を強いられる人間に生まれるものではないでしょう。
この利用者さんが夢中になれること…「パン生地をこねる」⇒「箱庭作り」が、彼に新しい人生の楽しみを与えたのです。これこそが“生活に結びついたレクリエーションであり、リハビリである”と感じました。
ただ体を動かすだけのリハビリでもなく、ただ楽しく遊ぶだけのレクリエーションでもない、「利用者様の生活に結びつく援助」を考えていきたいと決意した私と、それぞれの宿題を得た“介護技術学び隊”のメンバーは、8月までに勉強会を開こうと約束し合って、2日間のセミナーを終了しました。

以上で特派員Jのリポートを終わります。
みなさん、ありがとうございました〜。

今回のまとめ

特派員Jのリポートはいかがでしたでしょうか?
調査員は、特派員リポートの最後に出てきた、元パン屋さんの利用者様の話に感動しました。
理学療法士としても、在宅ケアマネジャーとしても、利用者様お一人お一人の人生や生活に対して、真摯に向き合いながらケアに取り組む下元さんの姿勢がうかがえる挿話でした。
そして、介護とは、技術と同じぐらい相手を思い遣る気持ちを磨かなければならないものなんだと改めて感じました。

もうやめませんか?こんなケア… 2008年4月に大阪で開催された「バリアフリー2008」でも、会場内のあちこちのブースで、うぇるぱ高知下元さんは『もうやめませんか?こんなケア…』とおっしゃっていました。また、下元さんから次の様なメッセージも発信されています。
『ケア現場では、腰を痛める介護者、拘縮や床ずれに悩まされている方々、みんな苦労をしています。これらの多くの問題は、力任せの介護による二次障害だと言われています。床ずれも、拘縮も作られているものなのです。腰痛も対象者が重たいから起こるのではなくて、より良い介護方法を知らずに持ち上げ介護しているから起こるものだとは思いませんか?(中略)多くのケア現場を変えていきたい、たくさんの方々と“人を大切にするケア”を広げていきたい、そんな想いから、私達は『ナチュラル・ハートフルケア ネットワーク』を立ち上げることにしました。“悪いケアは「忙しいから」「人手が足りないから」「モノがないから」仕方がない”という時代から、“モラルとして問題だ”と多くの方が訴える時代を早く迎えたいと考えています。みなさんも一緒に考えていきませんか?』 このメッセージは、日頃同じ思いを抱える仲間とつながって、『ナチュラル・ハートフルケア ネットワーク』が生まれました。
もちろん下元さんも発起人のお一人です。
皆さんの中で、『ナチュラル・ハートフルケア ネットワーク』をもっと知りたいと思った方は、生き活きサポートセンターうぇるぱ高知までお問い合わせくださいね。


きらけあは「ケアのことを考えるきっかけ作り」のための情報を、これからもドシドシお届けしていきたいと思っています。
「きらけあトピック」へのご感想をこちらからぜひお寄せください。お待ちしています!

以上で、生き活きサポートセンターうぇるぱ高知の活動』の調査報告を終わります。
下元さん、特派員Jさん、ありがとうございました!
次回のPICKUPトピックもお楽しみに!

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