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排泄ケアから暮らしを変えよう!「むつき庵」の取り組み

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File No,01

施設長に密着取材!

File No,02

観たぞ!「殯の森」

 
取材データ

今回の取材にご協力いただいたのはこの方!

浜田きよ子さん

高齢生活研究所所長
排泄用具の情報館『むつき庵』代表

浜田 きよ子(はまだ きよこ)さん


*福祉住環境コーディネーター協会理事
*日本コンチネンス協会理事
*財)テクノエイド協会発行「福祉用具とともに歩む生活」作成委員長
*2005年 京都府あけぼの賞 受賞
*2007年 日本認知症ケア学会・読売認知症ケア奨励賞 受賞

調査報告

むつき庵 外観 今回、きらけあ調査隊がお邪魔したのは排泄用具の情報館『むつき庵』。
場所は、京都府上京区、二条城の北北西、堀川通から商店が立ち並ぶ小道を西に入ったところ。赤い扉が印象的でとってもおしゃれな外観の建物です。この建物、元々は民家だったそうで、内部もほとんど手直ししていないとか。言われてみると確かに、どなたかのご自宅にお邪魔したかのような寛げる雰囲気が漂っています。

さて、「むつき庵」の「むつき」とは、そもそもおむつのことで、漢字では『襁褓』と書くらしく、元々は、生まれたばかりの赤子を優しく包む産着を指す言葉だそうです。一人でも多くの方の生活を産着のような優しさで包みたいという願いを込めて「むつき庵」は名付けられました。

そんな優しさ溢れる「むつき庵」の代表である、浜田きよ子所長から、まずは設立の経緯と活動内容についてお伺いしました。

設立のきっかけは約20年前にさかのぼります。
浜田所長のお母様が糖尿病を患われました。同時に白内障の病状も進行してきたので、看護師の勧めもあって、おむつをつけた生活に変えることにされました。ところが、それまで自力で積極的に活動なさっていたお母様が、おむつに変えてからは、ベッドからほとんど動かなくなってしまわれ、残念ながら約1ヶ月後にお亡くなりになられたそうです。
浜田所長はその時、『母があんなに嫌がっていたおむつの使用を、もう少し慎重にしていたら何かが違っていたかもしれない。』という気持ちを抱かれ、自らの経験を活かし、高齢者の暮らしを広げるための排泄ケアや福祉用具の研究の取り組みを始められました。

気軽に手に取れる福祉用具の展示 排泄用具の情報と相談の拠り所として設立された「むつき庵」は、今秋で5周年を迎えられるとのこと。
館内には所狭しと、たくさんのおむつや、ポータブルトイレなどが展示されており、来館者が気軽に手にとって見られるようになっています。 おむつだけでも布・紙合わせて300種近く(!)、各種メーカーの商品を取り揃え、性別・体型・疾病や障害の様子、利用者ひとりひとりの生活スタイルに合わせて提案し、試用のおむつも無料配布。もちろん試用後のアフターフォローも行われています。

また、「むつき庵」の活動範囲は館外にも広がっていて、排泄用具の情報館としての役割を担うだけではなく、京都府・滋賀県の特別養護老人ホームへ出向き、具体的な困難事例に対して助言をする活動も行われています。 入所施設は在宅介護とは違い、個人別に設備や備品を用意することができないケースも多いのが実状です。しかし、排泄ケアの新しい気づき・発見をもたらせることで、介護する側の意識を向上させる効果があるそうです。

そんなケア意識と技術のスキルアップのため、「むつき庵」では《おむつフィッター研修》を開催しています。
この研修は、『おむつを提案することだけにこだわらず、医療や住環境、適切な福祉用具などを熟考しながら、幅広い視点で快適な排泄ケアを考えていくことのできる人材の育成』を目的とし、基礎コースの3級と、3級修了者を対象とした応用コースである2級が設定されています。また、今年からは1級課程の研修もスタートするとのことで、その注目ぶりは「北は北海道から南は沖縄まで!」日本全国から参加応募が殺到し、毎回すぐに定員に達してしまうほどなんです

そこで、きらけあ調査隊では3月に、3日間かけて行われた3級研修の様子を拝見させて頂くことにしました。

1日目の様子。 スケジュールですが、1日目はオリエンテーションも兼ねての講義、2日目は排泄用具についての講義と実技、最終日はグループワークとなっています。
そのうちきらけあは2日目にお邪魔しました。
今回も、最北は青森県、最南は鹿児島からと、36名の皆さんが参加されていました。 参加者の多くはお一人で参加され、平均年齢は30代後半。学校を卒業されたばかりの方から、経験35年のベテランまでと幅広く、職種も介護士・看護師・介護ショップ店員・建築関連・福祉系専門学校教員など多岐にわたっています。しかし2日目ともなると、皆さん打解けられ、随分とリラックスされた様子でした。

グループワークの様子 そして、気になる研修の中身はと言うと、この日はまず、午前中に浜田所長の講義を受け、午後からは最終日に発表する事例検討の為に4つの班に分かれて、各班で熱い討論を繰り広げました。ここでは皆さんの積極性が大いに発揮され、様々な職種・経験・地域性などを超えた交流がなされていました。
その後、班は2班に分かれて、順に【むつき庵の見学とポータブルトイレの説明】、【おむつの選び方と基本的な当て方】について学びました。

研修の様子 【おむつの選び方と基本的な当て方】では各メーカーの、タイプが異なるおむつや尿パッドなどを紹介し、その特徴や使い方が事細かに説明されていました。そして実際に装着しながら、当て方のポイントをレクチャー。例えば、テープ止めタイプのおむつでは、テープの止め方の違いで、装着している利用者さんの身体的負担や座る姿勢が異なってくるのを実体験し、おむつをキレイに当てるだけでは、動きやすさを確保することや尿漏れを防ぐことは出来ないことを学んでいらっしゃいました。 皆さんが身を乗り出して説明に耳を傾けながら、質問が次々に飛び交う様子を拝見して、調査員は、お一人お一人の『この研修でたくさんのことを学び取ろう。』という、熱意を感じました。

参加者のお一人、岡山から参加の澤井さん(仮称)は、介護福祉士の資格を持ち、特別養護老人ホームで14年のキャリアを積まれた方。毎年少なくとも2回は興味を持った県外の研修・セミナーに参加するほどの勉強家でいらっしゃいます。以前、「むつき庵」が主催された“おむつファッションショー”の模様がテレビで紹介されたのを覚えていて、今回の参加を決意されたそうです。最後に澤井さんは、「今後も精力的に自分磨きをしていきたい。具体的には、もっと医学的知識を身につけたい。」という目標をお話しくださいました。
また、富山県からは同じ特別養護老人ホームで介護士、生活相談員としてご活躍されているお二人が参加されていました。今回の参加は、約3年前に浜田所長が富山で行った福祉用具プランナーの講義を受けたのがきっかけで、決められたそうです。
お二人は「施設に戻ってから、ぜひこの研修で学んだことを活かしたい。」と力強く話してくださいました。

浜田所長 【むつき庵の見学とポータブルトイレの説明】では、浜田所長の案内にしたがって情報館としての「むつき庵」を見学しました。 館内にはおむつやポータブルトイレなどの展示品だけでなく、車椅子でも楽々と回転できる広い玄関、片手で簡単に設置できるスロープなど、家庭での具体的な福祉用具の使い方を分かりやすく、本来民家だった建物を利用して展示されていました。 参加者の皆さんは、福祉住環境コーディネーター協会理事でもある、浜田所長からの説明を直に受けられるとあってか、『浜田所長の言葉を一言も逃すまい』と、熱心に耳を傾けていました。 また、浜田所長がこれまで出版された書籍や新聞各紙などで連載、紹介してこられた 《高齢者の暮らしを支える様々な生活便利グッズ》 も展示されていて、高齢になって、身体が不自由になっても、高齢者が自分らしく豊かな生活を送れるように、排泄ケアだけに限らず、高齢者の役立つ情報を発信するという浜田所長の理念を、参加者の皆さんは感じた様子でした。 そうして2班がそれぞれ約1時間ごとに入れ替わりながらの研修を受け、2日目が終了。

と、思いきや、1日目の研修終了後、実は参加者の皆さんに、ある課題が出されていたんです。それは、各自がおむつを着用して排尿を体験し、2日目にその感想を提出するというものでした。 この排尿体験には、すでに3回トライしたことがある方もいらっしゃいましたが、今回のように就寝中という長時間、おむつをつけていたことはなかったそうで、皆さんの感想は『ゴワゴワした感じがした。』『漏れないか心配だった。』『仰臥位(ぎょうがい)ではどうしても排泄できなくて、座位(端座位が主流)でようやくできた。』『どうしても蒸れと尿臭を感じてしまったし、漏れないかが気になって、そのまま着けていることができなかった。』というものでした。 この様に、自身の排尿体験をもって、おむつを当てられた利用者さんが、普段どんな風に感じていらっしゃるかを知っていくことの大切さを改めて実感なさっていました。

そして最終日である3日目には、それまでの研修を受けて、グループワーク事例検討を行い、それを発表するそうです。 出題された事例は、次のような内容でした。

Kさんは在宅で生活をされている79歳の男性です。高齢による筋力低下があり、歩行がやや不安定です。
夜間は昔の習慣から、布団で寝ています。夜間のトイレ利用は、妻にトイレまで付き添ってもらっています。
最近トイレまで間に合わないことがあるため、夜用の紙パンツに大きな尿パッドを併用しています。妻は、夜間頻繁に起こされることと、紙パンツに大きな尿パッドをあてているにも関わらず、布団に漏らしてしまうことで困っています。どうしたらいいでしょうか?

討論が始まると、初めは各々の職種や勤務先での経験などに基づいた意見が中心ですが、次第に研修で学んだ内容が加わり、さらにグループのメンバー構成によって、多方向からの視点でアレンジされ、纏め上げられていきます。
それぞれの班からの発表内容を共有することで、【おむつを提案することだけにこだわらず、医療や住環境、適切な福祉用具などを熟考しながら、幅広い視点で快適な排泄ケアを考えていく】という、この研修の目的を実感していくのです。
その後、個別テストを受けて、全過程が終了との事です。
皆さん、大変お疲れ様でした!

今回のまとめ

美味しい食事や食材の栄養価についての情報を得るのは、比較的簡単にできますが、排泄となるとその情報量も少なく、ケアの方法の説明も、一般的でマニュアル化された場合が多く見受けられます。
またデリケートな問題ですから、他人に相談するのに躊躇してしまいがちです。そんな戸惑いを解決してくれる「むつき庵」の存在は、様々な人たちとの出会いが出会いを呼んで、現在では9箇所、さらに今年2箇所で「ミニむつき庵」として拡大中です。そうして「むつき庵」の活動に共感された方々が、各々の地域で定着させていこうと歩まれているのです。
恐らく『私もむつき庵に行ってみたいけど、都合が…』という方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、そんな皆さんにも朗報です!

排泄ケアが暮らしを変える 2008年3月20日、むつき庵の活動を軸に綴られた書籍【排泄ケアが暮らしを変える】が、ミネルヴァ書房から発売されました!!
また、4月25日(金)〜27日(日)インテックス大阪で開催される「バリアフリー展」で、むつき庵主催の「おむつコーナー」が設置され、最終日には浜田所長の特別講演もあります。
むつき庵のスタッフの皆さん そして9月には東京で「おむつのファッションショー」の開催も決定しています。
お時間の許される方はぜひ参加なさってみてはいかがでしょうか?
それぞれの詳しい情報は、むつき庵へお問合せください。


オムツフィッター研修で、たっぷり3日間かけて学ばれた36名の皆さんですが、講義が終わってからも、主催スタッフのもとに、質問をするために集まっている姿がとても印象的でした。きっと、それぞれの職場に戻り、研修で知り得たことを活かして、ますますご活躍されることでしょう。
きらけあ調査員は、これからも今回出会った様な、向上心をいっぱい持たれた皆さんのお役に立てる情報を、ドンドンお届けしていきたいと思います!

【研修情報】

課程

内容

平成20年度開催日程

3級(基礎コース)/3日間

『排泄のメカニズム/褥そうとおむつについて』
『おむつ、ポータブルトイレ、尿器などの排泄用具の説明とその選び方』

○4月21日(月)〜23日(水)
○7月14日(月)〜16日(水)
○10月20日(月)〜22日(水)
○11月17日(月)〜19日(水)

2級(応用コース)
2日間×3回
※3級修了者を対象

A
『排泄のメカニズムや病気について医師から学ぶ』
『パーキンソンの人の動き、片マヒの人の動きを理学療法士から学び、介護を考える』

B
『高齢者、片マヒの疑似体験から排泄動作を見直す』
『紙おむつ、布おむつについて徹底的に学ぶ』

C
『介護保険制度について』
『正しい排泄ケアの提案のために〜ロールプレイングを通じて相談事例を検討する〜』

A : 5月12日(月)・13日(火)
B : 6月9日(月)・10日(火)
C : 7月7日(月)・8日(火)

1級(専門コース)
2日間×4回
※2級修了者を対象

むつき庵へお問合せください

A : 11月10日(月)・11日(火)
B : 12月1日(月)・2日(火)
C : 1月13日(月)・14日(火)
C : 2月9日(月)・10日(火)

○研修会場:京都社会福祉会館(予定) 受講費:各講座20,000円
○参加問合せ・申込み:株式会社排泄総合研究所 むつき庵

〒602-8123 京都市上京区下立売黒門西入橋西2丁目648
TEL:075-803-1122 URL:http://www.mutsukian.com

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