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File No,01
施設長に密着取材!

   
取材データ

『福祉・介護への関心を高める映画

「殯(もがり)の森」と対談の集い』


日 時 : 

2008年3月9日(日)※開催済み

会 場 : 

大阪府立女性総合センター

主 催 : 

社会福祉法人大阪府社会福祉協議会
大阪府福祉人材センター

調査報告

会場の様子 大阪府社会福祉協議会・大阪府福祉人材センターが主催のこのイベントは、映画「殯(もがり)の森」を鑑賞し、主演俳優と福祉関係者との対談を聞くことで、認知症高齢者への理解を深め、尊厳ある暮らしを共に考え、福祉職・介護職の魅力と喜びの一端に触れていただく機会を提供するものとして昨年の初夏から準備を進められてきたイベントです。
この主旨に「きらけあ」も深く共感を覚え、『これはぜひ調査をして、きらけあファミリーの皆さんにお伝えせねば!』と早速行ってまいりました。

会場の様子 当日は、 日頃より福祉や介護に関心のある、およそ400名の方たちが開演1時間前から続々とご来場され、注目の高さをうかがわせていました。
会場にいらっしゃった皆さんは、『観に行くタイミングを逃してしまったので、今回の上映が楽しみ。』『なかなか映画館に行く時間がなくて…。』『映画のタイトルは聞いたことがあったけど、今回のイベントで、介護福祉士の役が出てくるのを知って参加しました。』 など、参加の動機は様々ながらも、どなたも本日のイベントを楽しみにしていらした様子です。
第60回カンヌ国際映画祭グランプリ受賞作でもある「殯(もがり)の森」は、全国でもすでに上映されていましたが、きらけあ調査員の私は初めての鑑賞でしたので、まずはじっくり映画を鑑賞させて頂くことにしました。


殯の森

殯(もがり)の森 奈良県東部の山間の地。
旧家を改装したグループホームに暮らすしげきは、亡くなった妻の想い出とともに静かな日々を過ごしている。
ここに新任介護福祉士としてやってきた真千子もまた、不慮の事故で子供を亡くした喪失感を抱えて生きていた。
失った者への想いとともに生きる者として、介護する側、される側という立場を超え、少しずつ打ち解けあっていくしげきと真千子。
そんなある日、亡き妻の思い出の詰まったリュックサックを、そうとはしらず何気なく手にとった真千子を、しげきは突き飛ばしてしまう。それは、しげきにとって亡くなった妻の想い出がたくさん詰まった、自分自身よりも大切な物だった・・・。「殯(もがり)の森」公式HPより)


自信をなくし、介護士としてやっていけるか不安な様子の真千子に、先輩職員が、「こうせなあかんことはないから。」と声をかけます。 真千子を励ます先輩もまた同じ様に、「こうせなあかんことはないから。」という言葉をもらっていたのです。 キャリアなど関係なく、誰もが迷いながら進んでいることを悟った真千子。翌朝から、しげきとの関わり方に変化が現れます。
そして舞台は森の中へ・・・。
ここで呼応し合う二人の心が、生命の源に抱かれて昇華していきます。

生命力と日本人の食生活の源である、《深い森》 《流れる水》 《青い青い田んぼ》。
冒頭シーンで主人公のしげきが問います。
「私は生きているんですか?」
それに住職が答えます。
「実感すること。それが生きていることだ。」
雨に濡れると寒いと感じる。火に当たると温かいと感じる。それが生きている実感。 その実感を森で体感し、心の痛みに向き合うとき、人は心の安らぎと、新たな生きる力を取り戻していくのだと感じました。



うだしげき氏と杉村和子氏 映画の上映が終了すると、主演俳優のうだしげき氏が登場!
大阪老人ホーム施設事業部長 杉村和子氏がホスト役を務められ、お二人の対談が始まりました。

うだ氏からは、カンヌ映画祭での様子や 《 しげきが大切にしていたリュックサックの中には、シーンで登場した物以外に、実はこんなものが入っていた。 》 などの撮影秘話、
他にも監督の河瀬尚美さんを、まるでご家族の様にご紹介されるなど(笑)、たくさんの楽しいお話しが語られ、飾らない人柄を感じる事ができました。

うだしげき氏 また、演技経験が皆無だったうだ氏は、役作りのためにグループホームで約3ヶ月もの間、認知症の高齢者と、そこで働く介護職員の皆さんと交流されたそうです。
そして、その中で感動したエピソードを話してくださいました。
そのグループホームには、18歳の新人介護職員がいらしたそうです。
その職員の見た目は本当に「今時の若者」。
しかし、うだ氏はその若者から『認知症の高齢者は、私たちと考え方が少し違うだけだ。』と教わったそうです。

それを受けて杉村氏も同様のお話をしてくださいました。
採用当初は、大丈夫かな?と不安に見ていた若い介護職員が、ある日、関わっていた入居者の方の看取りをし、 霊安室で一人号泣していた場面に遭遇したそうで、「今どきの若者はまだまだ捨てたモンじゃない」とおっしゃっていたのが印象的でした。

また、上映前に主催側から
『人間の尊厳、命の貴さを深く認識し、それに関わる介護の仕事の大切さと地域の福祉力の大切さを見直すイベントにしたい。』
というご挨拶があったのですが、杉村氏はそのスピーチを引用されながら、次のようにも述べられました。
杉村和子氏 「介護の仕事は、外から見れば、“大変な仕事”“キツイ仕事”と思われがちで、どうしても簡単にはチャレンジできないような高いハードルがあるようです。そのような印象を取り払い、この仕事の魅力を広めて、世間の認識を変えていくことで、介護職を目指してくださる人を増やしていきたいですね。この仕事は、技術の習得だけではなく、自らが人間として成長できる…。この映画を通じて、そんな喜びを感じ取ってもらえればと思います。そして、皆さんの感じたことを周りの方に伝えてほしいと願っています。」

その言葉を伺って、調査員は映画のラストシーンを思い起こしました。
顔をクシャクシャにして全身で泣く真千子。その表情がだんだんと笑みへと変化していく…。それはまるで身体の奥底から喜びの感情が滲み出てくるようでした。

その場面についてうだ氏は、真千子の中に、しげきの『生』『想い』『静かな心の叫び』が受け継がれていったことを意味していて、それが「生きつなぐということ。」だともおっしゃっていました。

タイトルの「殯(もがり)」とは、敬う人の死を惜しみ、しのぶ時間のこと。また、その場所を意味する言葉です。
『“生きていることを実感できる”、そんなステキな介護・福祉の仕事にもっともっと関心を寄せてほしい。』という言葉で、本日のイベントは終了しました。


最後に、今回このイベントに参加された方は、どの様な感想を持たれたのか気になった調査員。
そこで皆さんに感想を伺ってみました。

イベントに参加された方々 映画の冒頭から、最後のシーンまでで、しげきと真千子の表情がすっかり変わってしまったのが印象的でした。
私は、大学を卒業後、社会福祉士の資格を持ち、生活相談員として働いていましたが、今は職場を離れているんです。 今回のイベントに参加して、当時の気持を思い出しました。
今はすぐに現場に戻るというよりは、もう少し他の社会生活で人生の経験を積みたいと思っていますが、 高齢者福祉は、今後の生活から切り離せないことなので、それまでには自分にとっての介護の仕事を振り返ってみたいです。

(倉橋 郁子さん・20代・社会福祉士 ※右PHOTO奥)


私は看護師として、病院の救急に配属されています。
だから、今日の映画のように、長いスパンで高齢者の生命に関わるのとは、正反対の状況で毎日を過ごしています。 さっきまで、元気に動いていた人が、生命の危機に立たされ、例えば、蘇生処置を続けるか5分で判断しなければならなかったり…。 毎日の8時間勤務で、何度もそんな場面に立ち会っています。
介護の仕事も、私のような仕事も、それぞれに苦悩があることでしょうけど、自分の仕事には誇りをもって働いていたいなと思います。

(宮屋敷 まみさん・20代・看護師 ※上PHOTO手前)


イベントに参加された方々 僕はもともと、特養で勤務をしていました。
今は全く異なる仕事をしているのですが、今年、介護職に戻ることにしています。
この映画を見終わって、次の勤務先はグループホームがいいな、と思いました(笑)。
施設によって、高齢者との関わり方やケアの仕方では違いがあるので、 ぜひ今度は特養以外の勤務先で学んでみたいと思います。 昨年、ケアマネに合格し、今は研修の真っ最中。これからも資格を活かしていきたいと思います。

(青根 輝明さん・20代・介護福祉士&社会福祉主事 ※左PHOTO右側)


職業は保育士です。
そして今は、ヘルパー2級の資格を取得するために講座に通っています。
実は、保育士から介護の仕事を経験し、また保育に戻ってくる人が、私の周りでとても多いのです。
介護の仕事の大変さを伝え聞くのではなく、実際に学んでみたいと思ったのが、受講のきっかけでした。 映画の中に、しげきと真千子が茶畑でかくれんぼしたり、追いかけっこするシーンがありますが、それを見ていると、 保育士が子供を相手にしている時と同じだなと感じました。 でも、子供相手だとごまかしが効くところが、高齢者相手では違う。 きっと認知症が進んでいる方でも、実は何でも分かっていて、ケアをする側のことを許してくれてるんじゃないかな、と思いました。
資格取得の日を目指して頑張ります。

(山本 惠理子さん・40代・保育士 ※左PHOTO左側)

今回のまとめ

このイベントは、【映画を通じて、介護の仕事の魅力に立ち返ろう】とするもの。
介護職の人材不足や、介護福祉士の有資格者の現職離れは深刻な問題として、国でも対策を講じていく方針だそうです。
その流れを受けての今回のイベントでしたが、今後も大阪府福祉人材センター(TEL 06-6762-9020)や
大阪府介護福祉会(TEL 06-6766-3633)では、様々な取り組みを行っていかれるそうです。
きらけあも微力ながら、就職・セミナー・スキルアップなど、様々な情報を発信し、皆さんの疑問や相談に応えていくことで、たくさんの人材が介護の現場で「きらめいて」くださることを望んでいます!

そして、イベント会場でお会いした参加者お一人お一人が、交流を持ち、きらけあの様なWEBサイトで繋がって、その輪がどんどん大きく広がっていく…そんな介護業界を目指して、きらけあ調査隊は今日も関西を走り回ります!

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